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記憶、戻る

記憶喪失。ドラマでしか見たことないようなそんな事態が身近な人、一番大切に思っている人に起こるなんて、私にとっては思ってもみないショックな出来事だった。当然、私だけでなく夫の家族や私の家族にとってもそうであったと思う。


以前に台風の強風で飛んできた看板が頭にあたり、一時的に同じような記憶喪失の状態になったことがあるという人が、たまたま母の知人にいることがわかり、母はその人に話を聞いたらしく、こんなことを教えてくれていた。
記憶が戻る時には、一時的に記憶を失ってから戻るまでの間のことを忘れてしまう、と。その人は実際、そういう状態になったそうだが、数日して全て思い出した、というのだ。


もしそれが本当なら、そうなった場合には夫は水戸から浦和に引っ越してきたことを忘れてしまうだろうし、浦和の新しい家の場所もわからなくなるのだろう。記憶が戻る瞬間、それがいつ何をしている時に起こるかは誰にもわからない。家に居る時なら何の心配もないが、職場復帰した今、それは会社で起こるかもしれないし、通勤途中に起こるかもしれない。
何度も言うが、携帯電話のない時代である。もし、夫が一人で外出中にその記憶が戻る瞬間が訪れた時に、私と連絡が取れるようにと、新しい住所と電話番号を記したメモを、夫の財布の中に入れておくことにした。どうかこのメモに気づいてくれますようにと、祈る気持ちだった。


そしてその日がついに来た。夫に記憶が戻る瞬間が訪れたのは、日曜日に千葉の工場に仕事で出かけて行った日の帰りの電車の中だった。


夫は、千葉から帰る電車の中で、少し眠ってしまったのだそうだ。
ふと気づくと、今まで乗ったことのない電車に乗っている。窓から見える外の景色も全然見たことがない。なぜ自分がこんな電車に乗り、どこへ行こうとしているのか、なぜ全然知らない場所にいるのか、まったくわからなかったらしい。
取るものとりあえず、夫は電車を降りた。降りた駅も見覚えがない。それでなんとなく財布の中を探ったのだそうだ。そして、私が書いたメモを見つけてくれた。そしてそこに書かれている電話番号に、電話をかけてきてくれたのだった。


電話が鳴った瞬間、私は直感していた。これは来るべき時が来たのだと。
受話器を取ると、電話の向こうから困惑している夫の声が聞こえてきた。
「ねえ、俺、今○○駅っていう全然知らない駅にいるんだけど、ここってどこなの?なんで俺、こんなところにいるの?」


電話に出た私も慌てていた。何からどう説明したのか、覚えていない。無我夢中で、まずは家に帰る方法を説明し、最寄りの駅に着いたらまた電話をかけてもらうように頼み、一旦電話を切った。そして次に電話がかかってきたら駅まで迎えに行けるように、準備をして、再び電話が鳴るのを待った。


何分くらい待っただろうか、全然覚えていない。夫から最寄りの駅に着いたと連絡があり、私は娘を抱っこひもで体にくくりつけ、コートを羽織って駅に向かった。気持ちばかりがはやり、はやく歩こうとするのだが、六ヶ月になっていた娘を抱っこしているので、前のめりになってこけてしまいそうになる。「落ちつけ落ちつけ、気をつけて行かなきゃ」と娘の顔を見ながら自分に言い聞かせる。駅までの数分の距離が、あんなに長く感じたことはなかった。


駅で私と娘を見つけた時の夫は、娘の名前を呼んでこう言った。
「なんでこんなに大きくなってんの???」
夫はまるで目が点状態だった。そりゃあそうだ、事故して記憶喪失になった時、娘は二ヶ月足らず、ちっちゃな赤ん坊だったのだ。今はまるまるとして(!)、私が重そうに抱っこしているのだから。


私は私で、嬉しいのと驚いたのとで興奮して、そして夫に事の顛末を話さなきゃ、と家までの短い距離の間も矢継ぎ早に説明しようとしていた。家に帰ってからも、夫の実家に連絡を入れたり、夫にこれまでのことを話したり、とばたばたしていたのを覚えている。
もしかしたら、意外にあの時は夫の方が落ちついていたのかもしれない。自分に何が起こっているのか、すぐには受け止めかねていたが、わりと淡々とした様子だったような気もする。


あの頃、私は夫のことばかり心配して生活していたつもりだったが、本当に夫の気持ちをわかっていたのだろうか。
夫がどんな気持ちで記憶喪失ということを受け止めていたのか、わかっているつもりでいただけだったのではないか。
ずいぶん時間が経ってから、そう、離婚した後になってから、私は初めてそんなふうに思うようになった。
今から思えば、あの頃の私は、実は自分のことで精一杯だっただけなのかもしれない。でも、その時にはそんなことは思いもしなかった。いつでも、優先順位は娘、夫、最後が自分だ、と思っていたのだ。




| 私の物語 | 01:28 | comments(2) |
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| - | 01:28 | - |
海さん、コメントありがとうございました。数年前の記事に目を留めてくださったこと、とても嬉しかったです。
大切な方が記憶を失くされて、さぞご心配のことと心中ご察しいたします。おっしゃるとおり、どうぞ焦らず気長に、今を楽しみながら過ごされますよう。おふたりの笑顔が輝く日を、心からお祈りしております。
| きょうちゃん | 2015/12/27 7:08 AM |
数年前のブログに書き込みして申し訳ありません。
最近彼女が事故で記憶を無くしてしまい、いろいろ調べてるうちにこちらのブログを拝見させていただきました。
記憶が戻ることはあるんですね。とても希望が持てる素敵な記事でした。
いつか戻ってくれると信じて、ゆっくり焦らず僕も待とうと思います。
急に失礼しました。
| 海 | 2015/12/21 3:54 PM |